gawk
に関するまとめ
この付録にはgawk
のコマンドラインと、gawk
言語の要約がある。これ
は"クイックリファレンス"としてデザインされたものである。簡潔ではあるけれど
も、抜けはない。
コマンドラインはgawk
自身へのオプションと、awk
プログラムのテキ
スト(`-f'オプションが指定されていない場合)、そしてあらかじめ定義されて
いるawk
の変数、 ARGC
や ARGV
に反映される値からなる。
gawk [POSIX or GNU style options] -f source-file [--
] file ... gawk [POSIX or GNU style options] [--
] 'program' file ...
gawk
が受け付けるオプションは以下の通り。
-F fs
--field-separator fs
FS
の値となる)
-f program-file
--file program-file
awk
プログラムのソースを、最初のコマンドライン引数ではなくpro
gram-fileから読み取る。
-mf NNN
-mr NNN
gawk
がこれら数字に関
してのあらかじめ決まった限界値を持っていないので、gawk
では無視さ
れる。これはBell研究所のUNIXバージョンのawk
に対する互換性のためだ
けにある。
-v var=val
--assign var=val
-W traditional
-W compat
--traditional
--compat
gawk
の拡張機能を禁止する互換モードを使用する。
-W copyleft
-W copyright
--copyleft
--copyright
gawk
ではなくなるかもしれない。
-W help
-W usage
--help
--usage
-W lint
--lint
awk
プログラムの部分に対して警告を発
する。
-W lint-old
--lint-old
awk
で使えない機能に対して警告を発す
る。
-W posix
--posix
gawk
特有の拡張機能を禁止し、さらに幾つかの制限を
追加する。
-W re-interval
--re-interval
-W source=program-text
--source program-text
awk
プログラムのソースコードとしてprogram-textを使う。このオプシ
ョンはコマンドライン上に置かれたソースコードとファイル中のソースコードを
一緒に使うことを許し、特にコマンドライン上のプログラムからライブラリ関数を
使うときに便利である。
-W version
--version
gawk
に関するバージョン情報を標準エラー出力に出力する。
--
awk
プログラム自身に
`-'で始まる引数を渡すのに便利である。
これはPOSIXの引数解析の規約に従っている。
以上のもの以外のオプションは不正なものであるが、無視される。 詳しくはセクション コマンドラインオプションを参照。
awk
プログラムは、パターン・アクションの並びと (省略可能な)関数の定義
から構成される。パターンかアクションのいずれかを省略することもできる。
pattern { action statements } pattern { action statements } function name(parameter list) { action statements }
gawk
は最初に、ソースプログラムをコマンドラインで指定されていれば
program-fileから、そうでなければオプションでない最初の引数から読み
込む。 `-f'オプションはコマンドラインで複数回使うこともできる。
gawk
はすべてのprogram-fileファイルからプログラムを読み込む(こ
のとき、指定された順番通に行なわれる)。このような動作はawk
関数のライ
ブラリを作成するのに有効であり、新しくawk
プログラムを書くたびにそういっ
たライブラリを直接プログラム中にいちいち書かないで良い。コマンドライン上でタ
イプされたライブラリ関数を使うには、コマンドライン上に`-f /dev/tty'を書
いてそのあとにプログラムをタイプし、 Control-dで終れば良い
セクション コマンドラインオプションを参照。
環境変数AWKPATH
は`-f'で指定したファイルを探すパスを指定する。
AWKPATH
がセットされていないときには、デフォルトのパスである
`.:/usr/lib/awk:/usr/local/lib/awk'
(27)
が使われる。
`-f' で指定したファイル名に`/'が含まれていた場合には、パスを使った
サーチは行なわれない
セクション AWKPATH
環境変数を参照.。
gawk
はプログラムを内部形式にコンパイルし、ARGV
という配列中
のファイルから読み込みを行なう。もし、ファイルがコマンドラインで指定され
ていなければ、gawk
は標準入力から読み込みを行なう。
もしコマンドラインで "ファイル"が`var=val'という形であれ ば、それはvarにvalを代入するという代入式として扱われる。 ARGVの ある要素が空文字列であれば、その要素はスキップされる。
入力された行ごとに、gawk
はawk
プログラム中のパターンとマッチ
するかをテストし、適用すべきアクションを実行する。
awk
の変数は(使用する前に)宣言する必要はなく、最初に使用されるとき
に作り出される。その値は浮動小数点数か文字列かのいずれかである。 awk
はまた、一次元の配列を持ち、多次元配列をエミュレートする。 awk
が
実行時にあらかじめ決められた値をセットするようないくつかの変数があるが、
それはこのあとで説明する。
行が読み込まれるごとに、gawk
はフィールドセパレータにFS
の値を使って行をフィールドに分割する。 FS
が一つのキャラクタ
であれば、フィールドはそのキャラクタで分割される。そうでない場合、FS
は正規表現であるとみなされる。特殊なケースとして、FS
が一つの空白で
あった場合には、フィールドは空白、タブ、改行のいずれか、あるいはそのすべて
で分割される。(28)
また、FS
が空文字列(""
)であった場合には、レコード
の各キャラクタが別々のフィールドとなる。
IGNORECASE
(セクション 大小文字を区別するマッチングを参照)
の値はFS
が正規表現であるときに、どのようにフィールドが分割
されるかに影響を与える。
入力行のフィールドはそれぞれ、その(入力行中の)位置で参照することができ、
$1
, $2
のように記述する。 $0
は行全体である。フィールドの
値は代入することもできる。フィールド番号は定数でなくてもよく、
n = 5 print $n
上記のプログラムは入力行の5番目のフィールドを出力する。NF
という変数
には入力行にあるフィールドの数がセットされる。
存在しないフィールド($NF
より後ろのフィールド)を参照すると空文字列
が返ってくる。しかし、存在しないフィールドに対して代入を行うと(例えば
$(NF+2) = 5
)、NF
の値を増やし、間にあるフィールドを空文字列で
作成し、さらに$0
を、OFS
の値をフィールドセパレータとして再
構成する。
NF
を減じることによって、それによって範囲からはみ出たフィールドの
値が失われることになり、さらに$0
の値がOFS
によって区切られ
ているフィールドの集合として再構成される。
セクション 入力ファイルの読み込みを参照.
gawk
の組込み変数には以下のものがある。
ARGC
ARGV
の要素の数。ARGV
に実際に含まれるのものについては
後述する。
ARGIND
ARGV
ARGC
- 1まで。
ARGV
の内容を動的に変更する事によって、データとして使うファイルを制御
することができる。ARGV
の空の要素は無視される。ARGV
には
awk
に対するオプションや、awk
プログラムそのものには
含まれていない。
CONVFMT
FIELDWIDTHS
ENVIRON
HOME
の値は
ENVIRON["HOME"]
とすることで取得できる。その値は`/home/arnold'
といった形式であろう。
この配列を変更しても gawk
がリダイレクションやsystem
関数で起動
したプログラムが参照する環境変数には影響しない (これは将来のgawk
で
は変わるかもしれない)。
一部のオペレーティングシステムでは環境変数がない。そういったシステムでは
ENVIRON
は実行時には空となる。
ERRNO
getline
やclose
を実行したときに起きたエラーのシステムエラーメッ
セージ。
FILENAME
FILENAME
は空文字列である。
FNR
FS
IGNORECASE
IGNORECASE
に0でない値が設定されていると、ルールのパターンマッチン
グ、RS
によるレコード分割、FS
によるフィールド分割、`~'
や`!~'による正規表現マッチングや、gsub
, index
,
match
, split
, sub
といった組込み関数の全て正規表現オ
ペレーション時や文字列比較の際に大小文字を無視する。
IGNORECASE
の値は、配列の添え字付けには影響しない。
NF
NR
OFMT
print
文で数値を出力するときのフォーマット。
デフォルトでは"%.6g"
。
OFS
ORS
RS
RS
が空文字列であれ
ば、レコードは空行によって分割される。RS
が空文字にセットされたと
き、改行キャラクタは FS
に設定されている値に加えて、常にフィールド
セパレータとして振る舞う。RS
に複数のキャラクタがセットされている
場合、それは正規表現として扱われ、入力テキストは正規表現にマッチしたとこ
ろでレコードに分割を行う。
RT
RS
で示されたテキストにマッチし、
レコードセパレータとなった入力テキスト。
RSTART
match
でマッチした文字列の先頭の位置。マッチしなかったときには0が入る。
RLENGTH
match
でマッチした文字列の長さ。マッチしなかったときは-1が入る。
SUBSEP
"\034"
である。
詳しい説明はセクション 組み込み変数を参照. にある。
配列はブラケット(`[' と `]')に囲まれた式によって添え字付けされる。 配列の添え字は常に文字列であり、数値は必要に応じて以下の変換ルールに 従って文字列に変換される (セクション Conversion of Strings and Numbersを参照)。
ブラケットの内側でカンマで区切られた複数の式を使った場合、配列の添字は添字の
区切り(SUBSEP
の値)によって区切られた文字列に変換され、それを内部的な
添字の値とする。
特殊な演算子in
はif
文やwhile
文のなかで配列中に含まれる特
定の値を取り出すために使われる。
if (val in array) print array[val]
配列が多次元の添字を持っていたならば、(i, j, ...) in array
を存在
する要素のテストのために使用する。
in
はfor
ループのなかで、配列要素すべてに対する繰り返しを行なう
ときに使うことができる。
セクション Scanning All Elements of an Arrayを参照.
delete
文を使って配列要素を配列から削除することができる。
`delete array'を使って、配列全体をクリアすることができる。
セクション awk
における配列を参照.
awk
での式の値は常に数値か、文字列のいずれかである。
一部の(算術演算子のような)文脈では数値が要求される。 そのような文脈では数字のならんだ文字列のテキストに対して、 インタープリタが文字列から数値への変換を行う。 もし、変換対象となった文字列が数値のようなものでなければ、 0に変換される。
その他の文脈(連接のような)では、文字列値が要求される。
数値データであればsprintf
で
出力したような文字列に変換される。
詳しくは
セクション Conversion of Strings and Numbersを参照.
強制的に文字列データを数値に変換するには、単に0を加えれば良い。ただし、文字 列がすでに数値データである場合には変換動作は行われない。
逆に強制的に数値データを文字列に変換するには、空文字列を連結すれば良い。
awk
言語ではオペランドが両方とも数値であるか、少なくとも一方が数値
で、他方が数値文字列であれば数値として比較を行なうように定義している。そ
うではなく、少なくとも一方のオペランドが文字列に変換されていたら文字列同
士の比較が行なわれる。フィールド、!code{getline}による入力、FILENAME
、
ARGV
の要素、ENVIRONMET
の要素、split
によって作
成された配列の要素といったものだけが、数値文字列となることができる。
"3.1415927"
のようなものは、数値文字列ではなく文字列である。
比較の際のルールは
セクション Variable Typing and Comparison Expressionsを参照.
で全て説明されている。
初期化されていない変数は文字列値""
(空文字列)を持つ。数値が要求され
る文脈では0に等しい。
変数の名前付けと初期化についてはセクション Variablesを参照、 変数の値がどのように解釈されるかは セクション Conversion of Strings and Numbersを参照。
awk
プログラムは、その大部分がアクションが後に続いているパターンか
ら構成されるルールからなる。アクションは`{' と`}'に囲まれて
いる。アクションかパターンのどちらかを省略する事ができる(もちろん両方を
省略するという事はできない)。パターンが省略されると、全ての入力に対して
アクションが実行される。アクション部が省略された場合には、行全体を出力す
る`{ print }'と同じことになる。
コメントは`#' で始まり、行末まで続く。空行は文の区切りのために使われる
だろう。通常は文の終わりは改行であるけれども、`,', `{',
`?', `:', `&&', `||'が行の最後にきているときにはその限
りではない。また、do
あるいは else
が行末にきている場合、自動的
に次の行以降に対応する文があるとみなされる。別のケースとして、行末に改行を無
視するための`\'がある場合、行が継続しているものとみなされる。
マルチステートメントは同一行上で`;'を使って文を区切る事で使う事ができる ようになる。これはルールのアクション部(通常の場合)ステートメントと、ルール 部のステートメントの両方に適用できる。
awk
コメントについてはセクション awk
プログラム中のコメントを参照.に、
awk
の行継続のメカニズムについては
セクション awk
の文と行を参照.に
説明されている。
awk
でのパターンは次のうちのいずれか一つである。
/regular expression/ relational expression pattern && pattern pattern || pattern pattern ? pattern : pattern pattern pattern1, pattern2 BEGIN END
BEGIN
と END
は、入力に対してテストを行わない特殊なパターンであ
る。全てのBEGIN
ルールのアクション部分はあたかも一つのBEGIN
ルー
ルで記述されたかのようにまとめられ、入力を開始する以前にルールの実行が行われ
る。同様に全てのEND
もまとめられて、入力が全て終了したとき(もしくは
exit
文が実行されたときに)ルールの実行が行われる。 BEGIN
と
END
の二つのパターンはもう一方のパターンと一緒にされる事はない。
BEGIN
パターンも END
パターンもアクション部の省略はできない。
`/regular-expression/'というパターンは各入力行に対して正規表現が
マッチするかどうかを実行する仮想的な(?)文である。正規表現はegrep
の拡
張になっており、以下に挙げられる通りである。
relational expressionは以下で定義される演算子を、アクション中で使うこ とができる。これらは通常あるフィールドとある正規表現がマッチするかをテストす る。
`&&', `||', `!'といった演算子はそれぞれ、 Cと同じ様に論理積、 論理和、論理否定の演算子である。これらの演算子はまた、これもCと同じ様に式の 評価をするときにショートサーキット評価を行う。また、これらの演算子を組み合 わせて式を構成する事もできる。多くの言語でそうであるように、括弧を式の評価 の順序を変更するために使う事ができる。
`?:'という演算子はCでのそれと同じである。最初のパターンにマッチすると、 入力レコードに対して二番目のパターンが適用され、そうでなければ三番目のパタ ーンが適用される。二番目か、三番目のいずれか一つだけが適用される。
`pattern1, pattern2'の様な形式のパターンは範囲指定パターン と呼ばれる。このパターンはpattern1にマッチした行からpattern2にマッ チした行まで(pattern2も含まれる)の全ての行にマッチする。範囲指定パター ンは他のパターンのオペレータとして使用する事はできない。
セクション Pattern Elementsを参照.
正規表現はPOSIXの拡張正規表現に基づいている。エスケープシーケンスは文字 列定数や正しい正規表現定数の中に含めることができる(セクション エスケープシーケンスを参照)。 正規表現は以下に挙げるキャラクタの組み合わせである。
c
\c
.
^
$
[abc...]
[[:class:]]
alnum
, alpha
, blank
, cntrl
,
digit
, graph
, lower
, print
, punct
,
space
, upper
, xdigit
がある。
[[.symbol.]]
gawk
は現在この照合シンボルをサポートしていない。
[[=classname=]]
gawk
は現在この等価クラスをサポートしていない。
[^abc...]
r1|r2
r1r2
r+
r*
r?
(r)
r{n}
r{n,}
r{n,m}
\y
\B
\<
\>
\w
\W
\`
gawk
での文字列と同じようなもの)の先頭にある空文字列と
マッチする。
\'
gawk
が正規表現中にあるキャラクタをどのように
解釈するかを制御するコマンドラインオプションが幾つかある。
gawk
はPOSIXの正規表現演算子と
GNUの正規表現演算子のすべての機能を提供する。
しかし、interval expressionはサポートされない。
--posix
--traditional
awk
の正規表現がマッチする。GNUの演算子は特別でなく、
interval expressionとPOSIXのキャラクタクラス([[:alnum:]]
など)も使
用不可である。八進や十六進のエスケープシーケンスで表わされたキャラクタは、
それが正規表現のメタキャラクタであってもキャラクタそのものとして扱われる。
--re-interval
セクション 正規表現を参照.
実行文(action statement)はブレース(`{' と `}')に囲まれている。 省略された実行文は`{ print }'と等価である。
他の多くの言語と同じように、実行文は通常、代入文、条件文、ループなどから なる。演算子、制御文、入出力文はCと同じ様に記述できる。
コメントは`#' で始まり、行末まで続く。空行は文の区切りのために使われる
だろう。通常は文の終わりは改行であるけれども、`,', `{',
`?', `:', `&&', `||'が行の最後にきているときにはその限
りではない。また、do
あるいは else
が行末にきている場合、自動的
に次の行以降に対応する文があるとみなされる。別のケースとして、行末に改行を無
視するための`\'がある場合、行が継続しているものとみなされる。
マルチステートメントは同一行上で`;'を使って文を区切る事で使う事ができる ようになる。これはルールのアクション部(通常の場合)ステートメントと、ルール 部のステートメントの両方に適用できる。
awk
コメントについてはセクション awk
プログラム中のコメントを参照.に、
awk
の行継続のメカニズムについては
説明されている。
awk
の演算子を、優先順位の高い順に挙げる。
(...)
$
++ --
^
+ - !
* / %
+ -
space
< <= > >= != ==
~ !~
in
&&
||
?:
expr1 ? expr2 : expr3
の様に
記述される。 expr1が真であれば式の値はexpr2に、そうでなければ
expr3になる。expr2 と expr3のうち、どちらか一つだけが評価
される。
= += -= *= /= %= ^=
var=value
)と代入演算子
(それ以外のもの)の両方がサポートされている。
セクション 式を参照.
制御文には以下に挙げるものがある。
if (condition) statement [ else statement ] while (condition) statement do statement while (condition) for (expr1; expr2; expr3) statement for (var in array) statement break continue delete array[index] delete array exit [ expression ] { statements }
セクション アクション中の制御文を参照.
入出力文には以下のものがある。
getline
$0
にセットする。 NF
, NR
, FNR
が
再設定される。
セクション getline
を使った入力を参照.
getline <file
$0
にセットし、NF
が再設定される。
getline var
NR
, FNR
が再設定
される。
getline var <file
command | getline
getline
へパイプを通して送る。
そのとき$0
, NF
, NR
が再設定される。
command | getline var
getline
へパイプを通して送る。
varが再設定される。
next
awk
プログラムの最初のパターンから処理を始める。入力
データがファイルの終端に達したならばEND
ルールが実行される
セクション The next
Statementを参照。
nextfile
FILENAME
は更新され、FNR
は1にリセッ
トされ、ARGIND
はインクリメントされる。また、新たな入力レコードは
awk
プログラムの最初のパターンから処理が開始される。入力データが終
わりに達した場合、(もしあれば)END
ルールが実行される、以前のバージ
ョンのgawk
ではnext file
を使っていた。これは現バージョンで
も使えるが好ましくない。
セクション The nextfile
Statementを参照.
print
print expr-list
print expr-list > file
print
文が実行されたときに削除される。
print expr-list >> file
print
による出力はファイルに追加する形で行われる。
print expr-list | command
close
関数が呼び出させるまで存在し続ける。
printf fmt, expr-list
printf fmt, expr-list > file
printf
が実行された
ときにファイルの内容が削除される。
printf fmt, expr-list >> file
printf
の出力はファイルに追加される。
printf fmt, expr-list | command
close
関数が呼び出させるまで存在し続ける。
getline
は、ファイルの終端に達したときに0を返し、エラーが発生した
場合には-1 を返し、ERRNO
にエラーの内容を示す(システム依存
の)文字列を格納する。
printf
Summary
変換指定は次のような形式である。
%
[flag][width][.
prec]format.
ここで、ブラケットに囲まれているアイテムは省略可能である。
awk
のprintf
文とsprintf
関数は
以下にあるような変換指定の書式を受け付ける。
%c
%d
%i
%e
%E
%f
-
]ddd.dddddd
.
の形式の浮動小数点数値。
%g
%G
%o
%s
%x
%X
%%
以下のものはオプションである。 付け加えられたパラメータは、`%'と制御文字の間に置かれる。
-
space
+
#
0
width
.prec
widthと precのどちらか、もしくは両方の値を`*'を使って指定す る事ができる。この場合、実際の値は引数リストから取得される。
セクション Using printf
Statements for Fancier Printingを参照.
入出力のリダイレクトをprint
や printf
を使ってファイルに行った
り、getline
を使ってファイルから入力する際に gawk
はある特殊なファ
イル名を内部的に認識する。これらのファイル名はgawk
を呼出したプロセス
(通常はシェル)から受け継いだファイルディスクリプタをアクセスできる。そして、
そのファイル名には以下のものがある。
以上のものに加えて、以下に挙げるファイルを読むことによって、
gawk
を実行しているプロセスに関連する情報を取得することができる。
全ての返されてきたレコードは改行で終端されている。
getuid
, geteuid
, getgid
, getegid
の
四つのシステムコールの値をスペースで区切られたフィールドに置いて返す。も
し追加されたフィールドがあるなら、それはgetgroups
システムコールが
返したグループIDである(マルチプルグループは全てのシステムでサポートされ
てはいない)。
これらのファイルの名前はコマンドライン上でデータファイルの名前のように使われ るだろう。その名前はあなたの使うシステムで実際に使用できる名前でなければ単に 内部的に認識されるだけである。
この機能を追加するきっかけは
セクション Special File Names in gawk
を参照
に詳しく説明されている。
awk
は数値演算や、文字列処理、入出力に関する操作を行う組込みの関数を
多く持っている。
組込みの数値関数は以下に挙げる通り。
atan2(y, x)
cos(expr)
exp(expr)
e ^ expr
)。
int(expr)
log(expr)
expr
の自然対数を求める。
rand()
sin(expr)
sqrt(expr)
srand([expr])
awk
には以下の文字列操作を行う組み込み関数がある。
gensub(regex, subst, how [, target])
$0
が使われる。関数の戻り値は変更された文字列であり、オリジナルの
targetは変更されない。subst中では、`\n'の表記を使
って(nは1から9まで)n番目にマッチした(括弧でくくられた)部分文
字列を使うことができる。この関数はgawk
に固有のものである。
gsub(regex, subst [, target])
$0
が使われる。
index(str, search)
length([str])
$0
の長さを返す。
match(str, regex)
RSTART
とRLENGTH
にも
それぞれ値がセットされる。
split(str, arr [, regex])
FS
が区切りとして使用される。regexは空文字列であっても
よく、その場合には個々のキャラクタが配列要素となる。配列arrは最初
にクリアされる。
sprintf(fmt, expr-list)
sub(regex, subst [, target])
gsub
と似ているが、最初に一致した部分文字列だけが置き換えられる。
substr(str, index [, len])
tolower(str)
toupper(str)
入出力に関連した関数は以下の通り。
close(expr)
fflush([expr])
""
であった場合、すべての出力バッファがフラッシュされる。
system(cmd-line)
system
をサポートしていないと、呼び出しを
行ったときに致命的エラーが発生する。
`system("")' は強制的にawk
に出力をフラッシュさせる
のに遣うことができる。これはfflush
を呼び出すよりも
ポータブルではあるが、(出力をフラッシュするという目的が)明らかでない。
次に挙げる二つの関数は現在の時刻を取得し、整形することができる。
これらの関数はgawk
に固有のものである。
systime()
strftime([format[, timestamp]])
date
ユーティリティの
出力と同じである。
strftime
が受け付ける変換指定については
セクション Functions for Dealing with Time Stampsを参照
を参照のこと。
awk
の組み込み関数については
セクション 組み込み関数を参照. で詳述されている。
awk
での文字列はダブルクォート(二重引用符、"
)で囲まれた
キャラクタの並びである。文字列中にはCと同じようなエスケーブシーケンス
を含めることができる。エスケープシーケンスには以下に挙げるものがある。
\\
\a
\b
\f
\n
\r
\t
\v
\xhex digits
"\x1B"
はASCIIのESC(エスケープ)キャラクタからなる
文字列である。
(`\x'エスケープシーケンスはPOSIXのawk
では許されていない)。
\ddd
"\033"
もASCIIのエスケープキャラクタからなる文字列である。
\c
エスケープシーケンスは正規表現定数の中でも使うことができる
(たとえば/[ \t\f\n\r\v]/
という正規表現は
空白キャラクタにマッチする)。
セクション エスケープシーケンスを参照.
awk
では関数は次のように定義する。
function name(parameter list) { statements }
関数呼び出し時の実引数は、関数の宣言での仮引数の実体として使われる。配列は 参照渡し、その他の変数は値渡しで引数が渡される。
もし、関数呼び出し時の引数が宣言されている引数の数よりも少なければ、足りな い引数は空文字列で関数に与えられる。そういった引数はローカル変数として扱え る。
関数呼び出しの開き括弧は空白などを置かずに、関数名に続いて書かれなければな らない。これは文法的に連接演算子があるとみなされてしまうのを防ぐためだ。
func
をfunction
の代わりに使う事ができる(ただし、 POSIXの
awk
では使えない)。
関数から値を返すためにreturn
文を使う。
セクション ユーザー定義関数を参照.
第一に、組み込み関数length
の呼び出し時に引数を渡さなかったり、
さらに括弧も省略できる!
a = length
これは次のように書いたのと同じことである。
a = length() a = length($0)
そのため、以下のようなことになる。
$ echo abcdef | awk '{ print length }' -| 6
この機能はPOSIXの標準では好ましくないものとされており、gawk
は
`--lint'オプションが指定されているときにこれを見つけると警告を発す
る(このようなlength
の使用法は、UNIX上のオリジナルのawk
処理系が
そのような使い方を許してしまったことにある。$0
をデフォルトの引数
としてとるようなすべての組込み関数は括弧なしで関数を呼び出すことができた。
特に一般的だったのはlength
関数をこのようなスタイルで使うことであ
り、このような使用法がawk
のマニュアルページに記載されていたのであ
る)。
もう一つはbreak
文やcontinue
文をwhile
や for
、
do
を使ったループではないところで使ったときのものである。伝統的な
awk
の処理系では、それはnext
文を使ったのと同じように扱われ
る。より新しい、Unix上のawk
ではこれは許されない。gawk
では、`--traditional' オプションが指定されたときにこの機能をサポー
トする。
`--posix' オプションと `--lint' オプションについての 詳細は セクション コマンドラインオプションを参照.